お手軽な方法からリフォームまで｜冬の窓際の寒さ対策を解説

冬に窓に近づくと、窓際からの冷気を感じたことがある人は少なくないでしょう。

暖房をつけているのになぜか部屋が温まりにくかったり、足元だけがやたら冷たかったりする冬特有の悩みの大きな原因は「窓」にあることがほとんどです。

窓は住まいの中でも熱が逃げやすく、かつ冷気が侵入しやすい箇所でもあります。窓際の寒さをそのまま放置していると、暖房効率が悪化して光熱費がかさんでしまいます。

本記事では、窓際の寒さの原因を明らかにしたうえで、お手軽にできる方法から工事が必要なリフォームまで、さまざまな窓際の寒さ対策を解説します。

窓際から部屋が寒くなる理由

窓際から部屋が寒くなっていく理由は代表的なものとして以下の3つがあります。

• 窓から熱が逃げやすい
• コールドドラフト現象の発生
• 隙間風が冷気を運ぶ

それぞれについて以下より解説します。原因を知れば、どのような対策が効果的なのかも見えてきます。

①窓から熱が逃げやすい

実は、住宅の中で最も熱が出入りする場所が「窓」です。冬場には室内の暖かい空気の約60%が窓から外へ逃げていくといわれており、これが暖房をつけても部屋全体が温まりにくい大きな原因となっています。

ちなみに、夏場に外から住宅に入ってくる熱の約7割を占めるのも窓で、夏に窓際が熱く、冷房をつけても部屋が冷えにくい原因となっています。

加えて、日本の住宅で一般的に使われている単板（1枚）ガラスとアルミサッシの組み合わせが断熱性能が非常に低いことも一因でしょう。ガラス1枚で外気と接している窓は住宅の壁となっている部分でも特に薄い箇所ですし、アルミは金属の中でも特に熱を伝えやすい性質をもつ金属です。

このように窓が熱を逃がしやすく、かつ外の冷気を伝えやすい構造をしているのが問題です。例えるなら冷蔵庫の扉を少し開けたまま暖房をかけているようなもので、どれだけ暖房を強くしても窓際の冷気によりどんどん熱が逃げていってしまうため、なかなか部屋が暖かくならないのです。

②コールドドラフト現象の発生

特に窓際で寒いと感じる場所は主に「足元」です。冬に暖房をつけてても足元は何故か寒いという現象が起きてしまうのですが、これは「コールドドラフト」と呼ばれる空気の流れの現象です。

暖房で暖められた空気は軽く、天井付近に溜まりやすいのですが、この空気が窓に触れることで冷やされます。窓際で冷やされた空気は重くなって下へ降りていき、床を伝って部屋の中へ流れ込んできます。

窓の断熱が不十分だと、暖房で温められた空気は天井付近に、冷やされた空気は床付近に溜まるという状態に陥り、いくら暖房をつけても快適に感じられなくなるのです。

③隙間風が冷気を運ぶ

窓からの寒さには、わずかな隙間からの冷気侵入も大きく関係しています。窓枠やサッシの継ぎ目、ガラスとサッシの接合部分など、わずかな隙間が存在することがあります。

特に築年数が経過した住宅では、窓周辺のゴムパッキンが劣化して硬くなったり縮んだりすることで、本来の気密性能が失われていきます。こうした隙間から絶えず冷たい空気が侵入し、暖房の効率を下げてしまうのです。

すぐ実践できる窓際の寒さ対策

根本的な窓際の寒さ対策というとやはりリフォーム工事になってくるのですが、身近な材料や手軽なアイテムを使って、すぐに始められる対策がいくつかあります。代表的なものを解説します。

①隙間テープで冷気の侵入経路を塞ぐ

「隙間テープ」は、ホームセンターや100円ショップでも手に入る手軽なアイテムです。窓枠とサッシの間にできた小さな隙間を埋めることで、隙間風による冷気の侵入を効果的に防ぐことができます。

隙間テープにはさまざまな種類がありますが、窓の開閉部分には薄手のタイプを選ぶと窓の動きを邪魔せずにしっかりと隙間を塞げるでしょう。

窓枠とサッシの間や窓の下部のレール部分など、冷気が侵入しやすい場所に重点的に貼ると効果的です。貼る前に窓枠をきれいに拭いて汚れや水分を取り除いておくと、しっかりと密着して長持ちします。

隙間テープは使っているうちに劣化していくため、効果が薄れてきたら新しいものに貼り替えるメンテナンスが必要です。また、隙間を塞ぐことで結露が発生しやすくなることもあるようなので適度な換気をしましょう。

②断熱シートで窓ガラスに空気の層を作る

窓ガラスに断熱シートを貼ることも手軽で効果的な寒さ対策の一つです。シートとガラスの間に薄い空気の層ができることで、熱の移動を妨げて室内の暖かさを保ちやすくなります。採光性の低下が気になる場合は透明度の高いシートを購入しましょう。

断熱シートの代わりとして、梱包材として使われる緩衝材（プチプチシート）を活用することも可能です。窓枠にマスキングテープで固定すれば、賃貸住宅でも傷をつけずに設置できます。ただ、どうしても見た目は損なわれるので、気にするのであれば断熱シートで対処したほうがよいかもしれません。

③カーテン選びを再考する

カーテンは窓際の寒さ対策として非常に重要な役割を果たします。先述した断熱シートと同じような原理で、窓と室内の間にカーテンで空気の層を作ることで熱の移動を妨げます。

通常のカーテンでも多少の効果はありますが、断熱効果を持つカーテンや厚手のカーテンを使うことでより室温の暖かさを保つことができます。

効果を最大限に引き出すには、カーテンの長さが重要です。窓枠だけを覆うような短いカーテンではなく、床まで届く長さのものを選びましょう。カーテンと床の間に隙間があると、そこから冷気が入り込んでしまいます。

また、レースカーテンとの二重使いも効果的です。レースカーテンとカーテンの間にも空気の層ができることで、断熱効果が高まります。

④冷気ストップボードを活用する

窓際に立てかけたり窓に貼り付ける冷気ストップボードやパネルなども販売されています。これらは窓の前に物理的な障壁を作ることで、窓から降りてくる冷たい空気を部屋の中に入れないようにするアイテムです。

設置も簡単で、冬の間だけ設置して春になったら片付けられる手軽さも魅力です。ただし、窓の開閉がしにくくなる場合があるため、換気のしやすさも考慮して選ぶとよいでしょう。

窓の断熱リフォームで根本的に解決する

手軽な対策を試してみても効果が不十分に感じる場合や、根本的に窓の断熱性能を向上させたい場合は、リフォームを検討する価値があります。

初期費用はかかりますが、長期的に見れば光熱費の削減につながり、快適性も大きく向上します。これからも長く住む予定であれば、まずは熱の出入りが激しい窓からリフォームをはじめることをおすすめします。

リフォームの選択肢は大きく3つあり、それぞれについて以下より解説します。

①内窓（二重窓）を設置する

今ある窓はそのままに、内側（室内側）に新たな窓を追加して二重窓にする工法です。二つの窓の間にできる空気の層が断熱材のような働きをして、熱の移動を大幅に抑えます。

内窓の設置工事は工期も短く、費用もある程度安価で済みます。とはいえ複数箇所のリフォームだと大きな金額にはなりますが、窓補助金を活用することで費用は抑えられます。

一方、窓を開け閉めする際に二重の操作が必要になることや、窓まわりが狭くなることで圧迫感を感じる可能性があること、窓と窓の間の掃除がやや手間になることなどがデメリットとして挙げられます。

②ガラス交換

一般的な単板ガラスから複層ガラスへの交換も、断熱性能を高める有効な方法です。

複層ガラスとは、2枚のガラスを重ね、その間に空気やガスを封入したガラスのことです。ガラスとガラスの間の「中空層」が断熱効果を生み出します。

見た目や開閉方法などが変わらないのはガラス交換のメリットです。サッシもそのまま活用するため、施工も比較的容易です。

ただ、ガラスが厚くなるため既存のサッシによっては交換が難しい場合があります。また、サッシ部分の断熱性は向上しません。その分内窓の設置や後述する窓全体の交換と比較すると効果はやや限定的になってしまいます。

③窓全体の交換（カバー工法）

こちらはガラス・サッシ含めた窓全体を断熱性能の高いものに交換する方法です。近年は既存の窓枠の上に新しい窓枠を被せるように取り付ける「カバー工法」が主流です。工期やコストが削減されて、リフォームしやすくなりました。

ガラスは前述したように複層ガラスや真空ガラスに交換し、サッシも熱を非常に伝えやすいアルミサッシから熱を伝えにくい性質を持つ樹脂サッシに交換すると、窓の断熱性能は飛躍的に向上するでしょう。

予算を抑えたい場合は、室外側がアルミで室内側が樹脂になっているアルミ樹脂複合サッシという選択肢もあります。完全な樹脂サッシと比べると断熱性能は劣りますが、従来のアルミサッシよりは大幅に改善されます。

窓全体の交換だと窓の種類や開閉方法を変更することもできるため、使い勝手の改善も同時に図れます。二重窓にもならないので開閉が一度で済むのも魅力です。

ただし、カバー工法では既存の窓枠の上に新しい枠を重ねるため、窓のサイズが若干小さくなってしまいます。また、窓枠の状態によってはカバー工法が採用できず従来のはつり工法（窓まわりの壁を壊して取り付ける方法）でしか採用できないこともあります。

適切な対策で冬も快適に過ごそう

窓際の寒さは、適切な対策を施すことで大きく改善できます。まずは隙間テープや断熱シート、カーテンの見直しといった手軽な方法から試してみるのも手でしょう。これらの対策だけでも、室内の快適性は確実に向上します。

長期的な視点で見れば、窓の断熱リフォームはおすすめです。初期費用はかかりますが、暖房効率が上がることで光熱費が削減され、長い目で見れば経済的なメリットも得られます。

何より、快適な室内環境は日々の暮らしの質を大きく向上させます。本記事を参考にぜひ窓際の寒さ対策に取り組み、冬でも暖かく快適な住まいを手に入れてください。

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