活用してお得に断熱｜内窓の設置リフォームで使える補助金

冬になると窓からの冷気で部屋が寒くなったり、夏はエアコンをつけてもなかなか涼しくならなかったりする悩みを抱えている方は多く、この問題を解決する手段として窓のリフォームで断熱性能を上げることが挙げられます。

リフォームの工法はいくつかありますが、既存の窓の内側にもう一つ「内窓」を取り付けるリフォームが最近の主流となっている工法のひとつです。

工期も短く、比較的少ない費用で施工できるのが強みではありますが、それでも費用相場は一箇所あたり15万円前後（窓のサイズ等により変動）で、複数箇所リフォームを行うと考えると決して安い買い物ではありません。

そこでぜひ活用してもらいたいのが補助金です。国や自治体が実施している補助金制度を利用すれば、内窓リフォームの費用を大幅に抑えることができます。

本記事では、2025年現在、内窓の設置リフォームで活用できる補助金制度について申請方法から注意点まで詳しく解説していきます。

窓の断熱リフォームが補助金の対象になる理由

内窓設置に限らず窓の断熱リフォームが補助金の対象になっている背景には、住宅の省エネルギー化が国全体の課題となっている中で窓の断熱性能が住宅のエネルギー消費に大きな影響を与えるからです。

資源エネルギー庁によると、日本の家庭で使われるエネルギーのうち、冷暖房が占める割合は約3割と言われています。そして、その冷暖房エネルギーの多くが窓から逃げてしまっているのです。冬は暖かい空気の約6割が窓から外へ逃げ、夏は外の熱気の約7割が窓から入ってくるといわれています。

つまり、窓の断熱性能を高めることは家庭の省エネに直結しやすいのです。窓の断熱性能が上がれば冷暖房の効率が格段に上がり、それは光熱費の削減、消費エネルギーの削減につながります。

国としても地球温暖化対策やエネルギー問題の解決のため、住宅の省エネ化を積極的に推進しているのです。そのため、内窓の設置をはじめとする窓の断熱リフォームには、手厚い補助金制度が用意されています。

内窓の設置リフォームで活用したい補助金

内窓リフォームで利用できる補助金制度はいくつかあります。ここでは、2025年に実施されている代表的な制度として3つご紹介します。

①先進的窓リノベ2025事業

「先進的窓リノベ2025事業」は、環境省が実施している「住宅省エネ2025キャンペーン」の一つです。断熱性能の高い窓へのリフォームを対象に、費用の一部を補助してくれます。

内窓の設置では、窓のサイズや性能に応じて1箇所あたり12,000円から10万6,000円までの補助を受けることができます。1戸あたり最大200万円まで補助されるため、複数の窓をまとめてリフォームしたい方にとっては大変心強い制度です。

申請期間は2025年3月31日から12月31日までとなっていますが、予算の上限に達した時点で受付が終了となるため、早めの検討が必要です。

この制度を利用するには、事前に「窓リノベ事業者」として登録されている施工業者と契約する必要があります。発注者である私たちが申請するのではなく施工業者が申請する形となります。また、2024年11月22日以降に着工する工事が対象となっています。

②子育てグリーン住宅支援事業

「子育てグリーン住宅支援事業」も環境省の「住宅省エネ2025キャンペーン」の一つです。名称に「子育て」とありますが、リフォームの場合は子育て世帯に限らず、すべての世帯が対象となります。

この制度では、必須工事として開口部の断熱リフォームを行うことが条件となっており、それに加えて子育て対応や防災性向上のための窓リフォームも補助対象となります。内窓の設置では、1箇所あたり1万1,000円から1万7,000円の補助が受けられます。

ただし、この制度を利用するには、開口部の断熱リフォームに加えて、エコ設備の設置や躯体の断熱改修のいずれかとあわせて、最低2つ以上の必須リフォームを行う必要があります。内窓の設置だけでは補助対象にならない点に注意が必要です。

補助上限は、必須対象のリフォームを3つすべて行う場合は60万円、2つ行う場合は40万円となっています。

申請期間は先進的窓リノベ2025事業と同じく、2025年3月31日から12月31日までで、この制度を利用するには事前に「グリーン住宅支援事業者」として登録されている施工業者と契約する必要があります。こちらも発注者である私たちが申請するのではなく施工業者が申請する形となります。

③既存住宅における断熱リフォーム支援事業

公益財団法人北海道環境財団が実施している「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、家全体の断熱性能を向上させる「トータル断熱」や、居間の窓を断熱改修する「居間だけ断熱」の2種類で公募を行っています。

補助率は工事費用の3分の1以内で、ガラス・窓・断熱材・玄関ドアにおける上限額は一戸建て住宅の場合に最大120万円、集合住宅の場合に最大15万円から20万円までとなっています。

こちらは申請者本人が申請する形式にはなっていますが、業者が申請手続きの代行を行うことも可能なので利用する場合は業者と相談して進めて下さい。

自治体独自の補助金制度も

国の制度だけでなく、都道府県や市区町村が独自に実施している補助金制度もあります。地域によっては国の制度に加えて自治体の制度も利用できる可能性があります。たとえば、住宅省エネ2025キャンペーン関連の2つの補助金に関しては、国費が充当されているものを除き併用可能です。

地域密着型の業者はその地域の補助金にも詳しいので、もし相談する際は自治体の補助金についても聞いてみるとよいでしょう。

補助金申請の流れと必要な書類

補助金制度を利用する際の申請の流れについて説明します。ただ、施工業者が申請を行うものや代行申請が可能なものも多いので、基本的にはそれほど心配する必要はありません。

補助金申請の流れは基本的にほぼ同じですが、交付申請書類を提出するタイミングが多少異なります。リフォームが完了した後に申請を行い補助金を受け取る形式と、事前に補助金を申請して決定通知を貰った後に業者と契約しリフォームを行う形式の2つが主になります。

先進的窓リノベ2025事業と子育てグリーン住宅支援事業に関しては、リフォームが完了し支払いも行った後に交付申請を行います。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業に関しては事前に交付申請書を送付し、交付決定通知書が届いてから契約しリフォームを行います。

申請は基本的に業者がやってくれますが、書類はこちらが準備する必要があります。必要となる主な書類は以下の通りです。あくまで一例であり、補助金により必要な書類は変わります。

• 補助金利用の同意書・申請書
• 見積書
• 工事請負契約書のコピー
• 本人確認書類（運転免許証や住民票など）
• リフォームする住宅の登記事項証明書のコピー
• 工事前後の写真
• 設置する内窓の断熱性能を証明する書類

一見面倒に思えるものもありますが、多くの場合、施工業者がサポートしてくれます。どの書類が必要か、どのように準備すればよいかなど、わからないことがあれば業者に相談しましょう。

補助金申請で注意すべきポイント

補助金制度を利用する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。

予算上限に達すると受付終了

多くの補助金制度には予算が設定されており、申請期間中であっても予算の上限に達すると受付が終了してしまいます。人気の高い補助金は早期に予算が埋まる可能性があります。

内窓リフォームを検討しているのであれば、できるだけ早めに動き出すことをおすすめします。まずは施工業者に相談して、現在申請可能な制度を確認してもらいましょう。

対象となる製品が指定されている場合がある

どんな内窓でも補助対象になるわけではありません。一定の断熱性能を満たした製品が事前に登録されており、それらの製品を使用した工事のみが補助対象となる場合もあります。

とはいえ、補助金制度に詳しい施工業者であれば対象製品を使ったリフォームプランを提案してくれますし、補助金の対象となる高性能な内窓を設置できると考えると、過度に心配する必要はないでしょう。

着工のタイミングに注意

補助金制度によって、申請と着工のタイミングが決められています。先進的窓リノベ2025事業と子育てグリーン住宅支援事業の場合、2024年11月22日以降に着工する工事が対象です。

また、制度によっては着工前に申請が必要な場合もあります。このタイミングを間違えると、工事を行っても補助金が受けられなくなってしまうので注意が必要です。必ず施工業者と相談しながら、適切なタイミングで申請を行いましょう。

複数の制度は併用できない場合も

国の制度同士や、国の制度と自治体の制度を併用したい場合、組み合わせによっては併用できないケースがあります。どの制度を組み合わせるのが最もお得かは、リフォームの内容や住宅の状況によって異なります。

複数の制度の利用を検討している場合は、施工業者に相談して最適な組み合わせを提案してもらうとよいでしょう。

施工業者を選ぶポイント

補助金を利用した内窓リフォームを検討する際、まず確認したいのは業者が補助金制度に登録されているかどうかです。

先進的窓リノベ2025事業の場合は「窓リノベ事業者」、子育てグリーン住宅支援事業の場合は「グリーン住宅支援事業者」として登録されている業者でなければ補助金の申請ができません。施工業者のHPに記載してあったり、公式ウェブサイトで登録事業者を検索できるので、依頼前に確認しておきましょう。

また、補助金制度に詳しいかどうかも重要なポイントです。どの制度が利用できるか、補助額はいくらになるか、申請手続きはどう進めるかなど、わかりやすく説明してくれる業者を選びましょう。

工事費用だけでなく、補助金も含めた提案内容や対応の丁寧さなども含めて総合的に判断しましょう。適当に選ぶと後悔することもあるので、信頼できる業者かどうかをしっかり見極めることが大切です。

補助金を賢く活用して断熱化を進めよう

内窓の設置リフォームは、冷暖房の効率を向上させ光熱費もエネルギー消費量も削減できる地球にもお財布にも優しいコスパの良い省エネ対策です。そして、国や自治体が実施している補助金制度を利用すれば、費用負担を大幅に軽減できます。

複数の窓をまとめてリフォームすると費用が大きくなってしまうので、補助金を賢く活用できると経済的にも安心して住まいの断熱リフォームを進めることができます。

補助金には予算があり、期間中でも上限に達すると受付が終了してしまいます。また、対象となる製品や着工のタイミングなど、いくつか注意すべきポイントもあります。

内窓の設置リフォームを検討しているのであれば、まずは施工業者に相談してみましょう。

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